AGEと食育

最近IT関連会社がこれまでになかった新たな技術を開発したり、AI関連の会社が既存のデータを収集・解析し新たなマーケットを作ったりと急成長している会社がたくさんでてきました。テレビ取材の密着などで目にしますが、いわゆるベンチャー企業のやり手の若手社長です。見ていると気になることがあります。

それは皆さん仕事に没頭、集中するために食事はコンビ二のお弁当やおにぎりをほおばりながら仕事をされています。若いときだから無理ができますが、若いときだからしっかり栄養を摂って病気をしない体作りをしないといけません。仕事のことは貪欲に勉強したり実践していますが、食事のこと、体のことになると興味がない方も多いのです。「お腹が減ったから食べて空腹を満たす」、「何か食べればいいんでしょ」という感覚です。

それは子どもの頃から食事の大切さを学ぶ機会がない、教えてくれる人がいないからです。食べることは生きることです。どんなものを食べると体に良いのか悪いのか・・・子どもの頃から知ることは生きていく上で大切なことです。これからでも遅くはありません。食について学びましょう。

(山岸昌一先生 AGE研究協会メルマガより)

とかくAGEの研究をしていると、話題が健康寿命やアンチエイジングに偏りがちになります。たしかに、元気で若々しく長生きしていくためには、日頃の食生活に気をつけながらAGE対策を立てていくことが大切です。しかし、子供に対する食育という観点からもAGEは重要なキーワードだと、最近感じるようになりました。

私のように窓際に追いやられたお父さんより、よっぽど今の子供の方が、過密なスケジュールで一日を過ごしています。学校に、部活に、塾にと。田舎の政治家より忙しい子供は世の中にごまんといます。そして、その合間にカロリーはリッチですが、栄養価に乏しいジャンクフードを彼らはよく摂っているのです。忙しいので、食事に時間がかけられないのでしょう。

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また、おいしく手軽であるため、今の子供達の脂肪の摂取量はアメリカ人並みにまで増加しており、実際、日本でも若年者の肥満や糖尿病が問題になってきています。また、子供達の世話をするお母さん方も、忙しいと見えて(?)、レンジでチンの食品が夕食や休みの日の昼ご飯にのぼることも多々あるようです。このような現状を反映してか、最近、AGEが高めに計測される子供達が増えているように思います。

特に、お母さんのAGEが高いと、その傾向が顕著なようですから、子供の頃から、しっかりとした食育を家庭でおこなっていくことが重要だと言うことになります。今の子供達が高齢者になる頃、日本は世界で最も長生きの国であり続けられるのでしょうか、とても不安を感じています。

(文:山岸昌一) 山岸昌一先生(昭和大学医学部 糖尿病代謝内分泌内科 主任教授)1989年金沢大学医学部卒。1995年金沢大学医学部講師。1999年米国ニューヨークアルバートアインシュタイン医科大学に内科研究員として留学。2008年より現職。内科医。日本糖尿病学会、循環器学会、高血圧学会の専門医。糖尿病と心臓病の研究から老化の原因物質AGEに着目。AGEに関する最新データを次々と発表し、その英文論文数は600編を超える(2019年時点)。AGE研究で、アメリカ心臓病協会最優秀賞、日本糖尿病学会賞、日本抗加齢医学会奨励賞などを受賞。

「そればかり食べる」という習慣がつかないように。

子どものうちは親から与えられたものを食べますが、独立して1人暮らしをはじめるとなると食べるものは自分で選ばなければなりません。仕事や趣味などやりたいことがたくさんある時期に食事に対する意識はどうしても低くなってしまいがちです。食事にはなるべく時間とお金をかけないとなると、やはりコンビニやファーストフードが中心となってしまうのではないでしょうか。

便利になってしまった現代生活の中で、これらを全く利用しないという生活は現実的ではありません。なるべく「そればかり食べる」という習慣がつかないように、頻度を減らすよう心掛けてみてはどうでしょうか。

ジャンクフードを食べたからといって、すぐに病気になるわけではありません。むやみに避けるのではなく、どんな食べ物がカラダにとって好ましいのか、どんな食べ物を摂りすぎると良くないのかを自分自身で判断できるような知識を、子どものうちから身につけておくことが大切だと思います。

【参考資料】
皮膚自家蛍光値で測定したAGEs蓄積量の母子相関
http://dfo.m-review.co.jp/articles/005-e1-004/

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