過栄養、運動不足という現代生活の中、何も意識してなければ、生活習慣病のリスクは高まります。健康のために、食べるものを選ぶ基準はいろいろありますが、「AGE」という新しい観点から食べるものを選んでみてはいかがでしょうか。
● AGEがたくさん含まれる食べ物を食べることでカラダにたまる
血糖値とは血液中のブドウ糖の量のことです。血糖が高い状態、つまり高血糖が長く続けば、その間に糖化が進み、AGEがどんどんつくられることになります。また、AGEをたくさん含む食べ物ばかり好んで食べていると加齢とともにAGEが蓄積していきます。
血糖値を上げにくい食品を選ぶ。
AGEは高血糖が長く続くことでカラダにたまるので、血糖値の上昇をなるべく抑えることは、AGEをためないコツの1つになります。そこで参考にしたい数値がGI値、GL値です。これらは食品の血糖値の上昇度をみる数値で、高いほど血糖値が上がりやすい食品ということになります。ただし、GI値、GL値だけにこだわるのではなく、栄養バランスのよい食品を選ぶときのひとつの目安として利用してみてください。
食物繊維の多い食品から先に食べる。
食物繊維には食べ物の消化と吸収をゆるやかにして、食後血糖値の上昇スピードを抑え、糖を代謝するインスリンの分泌量を抑制するという働きがあります。食後血糖値の上昇を抑制できるのであれば、メイラード反応も起こりにくく、AGEができるのを防ぐ効果も期待できます。「食物繊維→タンパク質→糖質」の順番で食べましょう。
酢やレモンを調理に使う。
近年の研究により、酢にはダイエットや血圧低下効果のほか、食後血糖値の上昇抑制効果が示されています。酢の物はもちろん、サラダ、焼魚、中華料理などに積極的に使いましょう。ごはんも酢飯にしたほうが、食後血糖値のコントロールには効果的です。また、酢があまり得意ではないという人はレモンやライムなどを使いましょう。
時間をかけてゆっくり食べる。
早食いをすると、膵臓から分泌される消化酵素で食べたものが一気に消化され、糖質が腸で急速に吸収されるため、血糖値が跳ね上がります。食後の血糖値を急激に上げる食べ方をすると体内でAGE化が促進されます。“箸置き”を使い、食事中に箸を置くクセをつけて、ゆっくり時間をかけ、よく噛んで食べましょう。
AGEを多く含む食品を食べ過ぎない。
揚げたり、焼いたり、高温で加熱調理するとAGEが増えてしまいます。また、食材自体にAGEが大量に含まれているものもあります。たとえば、ベーコンやフランクフルトなどの燻製食品。また、エキストラバージン・オイルやバター類、パルメザンチーズなどにも多く含まれます。毎日食べ続けない、一度にたくさん食べ過ぎないようにしましょう。
人工甘味料の入った清涼飲料水を控える。
成分欄に「ブドウ糖果糖液糖」「果糖ブドウ糖液糖」という表示があれば、AGEをためこむ元凶だと思ってください。これらにはトウモロコシを原料につくられた「フルクトースコーンシロップ」などの果糖が多く含まれています。そして、果糖はブドウ糖に比べAGEを10倍も速くするうえに、依存性が高くどんどん欲しくなるため注意しましょう。
ファーストフードを控える。
たとえば、高温の油で揚げたフライドポテトは、ゆでたジャガイモの約90倍のAGEが含まれているそうです。ハンバーガー、フライドポテト、清涼飲料水のセットメニューは、AGE制限の観点からすると最悪の組み合わせです。どうしても食べたいときは、食物繊維の多い野菜サラダも一緒に注文して、先に食べるようにしましょう。
水を使って調理する。
同じ食材でも調理法でAGE値は異なります。たとえば、鶏肉は焼き鳥だと水炊きの6倍、唐揚げだと水炊きの10倍以上もAGE量が高くなります。長時間焼いたり、高温で揚げたりするとAGEができやすくなります。AGEの観点から、魚料理なら焼魚より煮魚、煮魚より刺身になります。肉料理なら焼肉よりしゃぶしゃぶです。
アンチAGE食品の活用
食物繊維を豊富に含む、野菜や果物、ネバネバ食品を意識的に摂りましょう。野菜では糖化反応を阻害する「αリポ酸」という成分を含む、ほうれん草、トマト、インゲンなどがおすすめ。とくに、スルフォラファン、ビタミンC、E群、βカロテン、カルシウム、カリウム、鉄などが豊富なブロッコリーは、糖化反応ばかりか、抗酸化作用も期待できる「アンチAGE食品」のエース的な存在です。
電子レンジを使った調理、温め直しは控える。
電子レンジ調理は、ゆでた調理よりも『AGE』の量を増やすことが報告されています。電子レンジはマイクロ波で食品の分子を振動させ高温状態にするので、焼き色がつかなくてもメイラード反応と同様の状態をつくります。電子レンジによる長時間の加熱や温め直しはなるべく控えましょう。