認知症とAGE

〜メルマガより〜

糖尿病では、認知症のリスクが高まります。実際、アルツハイマー型認知症のリスクが2-3倍高くなります。

糖尿病では動脈硬化症が進むため、大血管合併症が出現しやすく、脳を栄養している血管が詰まったり、破れたりする結果、脳卒中となり、認知機能が低下することが知られています。

さらに、いずれの病態にもAGEが関与していることが報告されています。

実際、AGEは老人斑を形成し、神経細胞を死滅させたり、脳に炎症を起こしたりしてアルツハイマー型認知症を引き起こしていきます。

また、AGEは動脈硬化症を進展させて脳卒中のリスクともなります。

というぐあいに、これまで糖尿病で血管が障害され、認知症が起こってくるのは、あくまで大血管合併症が起こってくるからだと考えられてきました。

しかし、最近になり、動物において脳の毛細血管にある周皮細胞を障害させて細小血管障害を作ってやると、

アルツハイマー型認知症の初期段階でしばしば観察される大脳の白質病変が生じることが明らかになってきました。

以上の事実は、AGEが網膜症同様に、脳の毛細血管でも周皮細胞を障害させて大脳の白質病変を形成し、アルツハイマー型認知症のリスクを押し上げている可能性を示唆しています。

糖尿病と認知症との関連に、もう一つ細小血管障害の関与があるのかも知れません。